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京都で簡易宿所の許可を取るまで
京都で簡易宿所の許可を取るまで。購入前に確認すべき三点から、購入後の消防、帳場、近隣説明までの道のりをたどります。

文/Icy(The081 代表)
宅地建物取引業 京都府知事(15131)号 | 2019年より京都で運営
要点
簡易宿所は旅館業法に基づき、営業日数に上限がなく通年営業できます。180日民泊とは別の道です。
許可が取れるかは購入前にほぼ決まります。接道条件、用途地域、建物の適法性のいずれかが欠ければ、許可は下りません。
消防は通常もっとも時間のかかる工程で、消防法令適合通知書の取得には一連の設備の設置と検査が必要です。
現場に常駐者を置かない施設には、京都市は10分以内に駆けつけられる体制を求め、満たせない場合は施設内に帳場を設けます。
開業前の近隣説明は必須で、対応を誤ると審査が遅れ、あるいは妨げられます。
許可の可否も期間も、最終的には行政機関の判断によります。結果を保証できる人はいません。
昨年、あるオーナーが京都の中心部で町家を見つけました。立地が良く、価格も手頃でした。契約の前に、一つだけ尋ねてこられました。この物件で簡易宿所は取れるのか、と。現地で測ってみると、面している路地は二メートルに満たず、建築基準法が求める接道の幅に届きませんでした。この一点で、許可は取れないと分かりました。
京都で初めて宿泊事業を手がける方は、順序が逆になりがちです。先に購入し、改装し、最後に許可を申請して、どこかの要件で止まり、それまでの費用と時間が無駄になります。京都では、簡易宿所の許可は開業直前の手続きではありません。物件を見たその時から数え始めるものです。
この記事では、その道のりを最初から最後までたどります。買う前に何を確認し、買ったあとに何をするのか、そして各段階がどこで止まりやすいのかをお伝えします。
簡易宿所か、180日民泊か
京都で合法的に宿泊事業を営む道は、大きく二つあります。簡易宿所は旅館業法に基づき、営業日数に上限がなく、年間365日ゲストを受け入れられる、本格的な通年営業として運営できます。一方の180日民泊は住宅宿泊事業法に基づき、年間180日までに限られ、住居専用地域では京都市がさらに狭め、1月15日から3月16日までの、合わせておよそ二か月しか営業できません。そのルートの運営面については、180日民泊運営サポートで扱っています。二つの道は、物件に求めるもの、申請の仕方、その後の遵守義務が異なり、方向を誤ると書類を作り直すことになります。この記事で扱うのは簡易宿所で、通年で事業を営む方のほとんどが選ぶ道です。
買う前に決まる三つのこと
物件が簡易宿所の許可を取れるかは、買う前に大きく決まっており、まず三つを確認する必要があります。一つ目は接道条件です。建築基準法は敷地が一定の幅員の道路に接することを求めており(原則として二メートル以上)、京都の旧市街では狭い路地に面した町家が多く、幅が足りなければ、それだけで申請は通りません。二つ目は用途地域です。用途地域によって宿泊施設への制限は異なり、そもそも認められない区域もあります。三つ目は建物自体の適法性です。違法建築の有無、未申告の改修、書類の不備はいずれも影響し、京都の町家は古いものが多いため、これは一棟ずつ見ていく必要があります。三つに共通するのは、いずれも購入前に確認できるという点です。だからこそ、先に見極めてから動くのが正しい順序であり、買ったあとで取れないと気づくのは避けたいところです。
買ったあとの流れ:消防、帳場、近隣説明
方向が定まり、物件も基準を満たしていれば、あとは許可を一段階ずつ進めていきます。消防は通常もっとも時間のかかる工程です。消防法令適合通知書を取得するには、消火器、自動火災報知設備、誘導灯、避難経路といった一連の設備の設置と検査が必要で、所轄の消防署と何度もやり取りすることになり、建物が古いほど、補うべきものは増える傾向があります。次に、京都ならではの要件があります。現場に常駐者を置かない施設について、京都市は10分以内に駆けつけられる体制を求めており、満たせない場合は施設内に帳場を設けることになって、遠隔地のオーナーはここで足止めされることが多くあります。最後が近隣説明です。開業前には規定に従って周辺住民へ事前に説明する必要があり、形式的に見えて実はそうではなく、近隣の反対は審査を直接遅らせ、あるいは妨げることがあり、京都は宿泊施設と周囲との関係に以前から敏感だからです。この見極めから許可取得までの一連を、私たちの許可・法令対応サポートで担っています。
許可は下りるのか、どれだけかかるのか
最も多く尋ねられ、最も正確に答えにくいのが、この二つです。下りるかどうかは、前述の要件、とりわけ接道、用途地域、消防で決まります。これらを満たせば見込みは高く、硬い条件で引っかかれば、書類をいくら重ねても通りません。どれだけかかるかは物件によって変わり、消防の改修が大きい場合や、近隣説明で抵抗がある場合は、期間が延びます。条件のきれいな物件と、大きく手を入れる必要のある物件とでは、かかる時間は大きく違います。私たちにできるのは、着手の前に、その物件がどこで止まっているのか、時間と費用がどれだけかかるのかを、ありのままに見積もってお伝えすることです。許可が下りるか、いつ下りるかは、最終的に行政機関の判断であり、誰も断言はできません。これを京都市に代わってお約束することは、私たちはしません。
よくある質問
京都の簡易宿所許可は、どのくらいの期間がかかりますか。
物件によって変わり、主に消防の改修量と近隣説明の進み方によります。条件のきれいな物件は比較的早く、大きく手を入れる必要のある物件は明らかに長くなります。正確な見積もりには現地確認が必要です。
簡易宿所と180日民泊は何が違いますか。
簡易宿所は旅館業法に基づき、営業日数に上限がなく通年営業できます。180日民泊は住宅宿泊事業法に基づき年間180日まで、京都の住居専用地域では1月15日から3月16日までに限られます。通年で事業を営むなら簡易宿所です。
すでに所有している中古物件でも、許可は取れますか。
物件の接道、用途地域、建物の状況によります。これらは購入後でも確認できますが、是正の難しい項目もあるため、まず現況を診断したうえで可否を判断します。
購入前に、許可が取れる物件かを確認してもらえますか。
はい、むしろその進め方をおすすめします。検討中の物件の住所や掲載リンクをお送りいただければ、接道、用途地域、消防の可否を先に確認し、購入を決める前にお伝えします。買う前の確認は、買ったあとの手当てよりはるかに費用を抑えられます。
京都で簡易宿所の許可を取るうえで難しいのは、特定の書類ではなく、順序です。買う前に確認すべきことを確認し、買ったあとで通らないと気づく事態を避けることです。民泊にしたい物件をお持ちの方、あるいは今まさに物件を探している方は、まず住所をお送りください。先に進む前に、可否をはっきりさせます。